~イラン侵攻の真実と、目前に迫る米中首脳会談の行方~

KNOW THY BEAST ceo 鈴木 慎次郎

今、世界は歴史の教科書が書き換わるほどの巨大な転換点に立っていると言える。
今週報じられた米国・イスラエル軍によるイラン侵攻、そして先行して行われたベネズエラへの電撃的な軍事介入。
これらは単なる局地的な紛争やトランプ大統領の勝手な暴走などの単純な話ではなく、
かつて大日本帝国を追い詰めた「ABCD包囲網」の現代版であり、ターゲットを「中国」に定めたエネルギー封鎖戦略の完遂を意味していることに気づかなければならない。

  1. 満州の幻影と「深さ」の教訓

かつて日本は、満州に眠る巨大な「大慶油田」をあと数百メートル掘り進める技術がなかったために発見できず、石油を求めて南方へ突き進み、大東亜戦争という破滅を選んでしまった。
また皮肉にも現代においてレアアースのの中でも重レアアースと言われる希少希土類は、かつてこの満州と呼ばれた地から、世界産出量の80%以上が産出されているのである。この「資源の不在」という強迫観念は、今も日本の宿命として根底に流れている。しかし、現代の日本には「南鳥島沖のレアアース泥」という、水深6,000メートルの深海から資源を引き揚げる技術があり、これは、かつて満州で逃した「自国資源による自立」を果たすための、歴史的なリベンジなのでもある。

  1. 現代版「ABCD包囲網」の完成

現在、アメリカが進めている戦略は、中国に対する徹底的なエネルギー供給網の切断である。
2026年1月3日ベネズエラに軍事介入 、世界第2位の原油産出量を誇るこの国を電撃的に制圧し、中国の利権を無効化した。
2026年2月28日イラン侵攻、中東最大の反米拠点及び中国への最大の原油輸出国を叩くことで、中国が「ドルを介さず石油を調達する」最後の生命線を断った。
これらは、かつて米国が日本に対して行った禁輸措置の現代版である。
中国がどれほどレアアースを握り、ハイテク産業で攻勢をかけようとも、国を動かす「血液」である原油をアメリカに掌握されれば、その結果は沈黙せざるを得ない。

  1. 北京・米中首脳会談の行方:最後通牒か、新たな秩序か

今月31日に予定されているトランプ大統領と習近平国家主席による「北京首脳会談」。これは、エネルギー供給を完全に押さえたアメリカが、中国に対して突きつける「最後通牒」の場となるのである。
石油の蛇口を握られた中国は、もはや強気な資源外交を維持できず、南鳥島のレアアース開発を妨害する余裕すら失いつつある。
もし会談が行われればであるが、トランプ大統領は、イラン・ベネズエラの制圧を背景に、中国に対して「不平等な通商条件の受け入れ」と「海洋進出の完全停止」を迫るのではないと思う。
米中首脳会談にこぎつけた中でのこの各軍事作戦の手早さ。これがトランプのなかで予め計画されていたのであれば驚愕せざるを得ない。
交渉が破裂すれば、エネルギーを断たれた中国が「かつての日本」のように、生存をかけた暴発(台湾・尖閣への進攻)に出るリスクも孕んでいるが、もはや現実的ではない。
中国は原油輸入量の9割である150万バレル/日もの原油をこの2国から輸入していたし、国内の備蓄も平時において数か月しかないと言われている。中国のかウントダウンが時間の問題なのはもはや明白なのである。
歴史は繰り返される。しかし、現代の日本には過去と違う武器がある。それは「他国からの供給に頼らない技術」。
南鳥島のレアアース開発や、リチウムに依存しない次世代電池の技術は、もはや単なる経済活動ではなくこの激動の「新・包囲網」の中で、日本がどこにも属さず、自らの足で立つための真の国防なのである。
北京での首脳会談の結果いかんで、世界経済のルールは根底から覆る可能性がある。私たちは今、まさにその歴史の最前線を目撃しているのである。